再び新型コロナウイルスの拡大が危惧される中ではありますが、
ここまでの転職市場の状況は中途採用求人数の急速回復かつ拡大加速の動きを示しています。
弊社の『リクルートエージェント』の求人数は、大半の職種でコロナ禍前の水準を超え推移。(下図参照)
採用数が3桁を超える大量採用も散見され、大企業から中小企業・ベンチャーまで、
全業種で採用は活発な状況です。
つまり、採用市場は再び「採用戦国時代」ともいえる、
競合がひしめく激しい戦いがしばらく続くことが予想されます。
その中で、今回取り上げるテーマ「戦わずして勝つ採用」は、
逆転の発想で「戦わない採用」はどんな考え方かをご紹介いたします。
採用に投資できる「金・人・モノ」は、決して無限に使えるものではなく有限です。
この有限となる資源の使い道の考え方として、
少しでも今後の採用の進め方の参考にしていただければと思います。
それでは今回もよろしくお願いします。
- 「無手勝流」転職も策略が大事
- 採用もビジネスも勝利の方程式は同じ
- 弱みは誰かにとっての魅力に変わる
1.「無手勝流」転職も策略が大事
「無手勝流」転職も策略が大事
まず本テーマの趣旨は「無手勝流」です。
(歴史が好きな方は馴染みのある言葉かもしれません!)
この言葉は剣豪で鳴る塚原卜伝の言に端を発すると言われています。
宮本武蔵による背後からの不意討ちに対して、くるりと振り返り、囲炉裏の鍋の蓋で受けた逸話が有名で。
同様に、渡し船の中で丸腰の卜伝が武者修行者から真剣勝負を挑まれた時、「勝負を受けて立つ」と言い、
血気盛んなこの若造を小島に降ろしたあと、船を竿で突き放して岸を離れた。
その時に発した言葉が、「戦わず勝つ、これが無手勝流」だそうです。
そこから派生してて、「策略を施して戦いに勝つ」「相手が思いもよらない手で勝つ」「どんなことをしても勝つ」という
意に用いられるようになっています。
表現は少し野蛮になるかもしれませんが、人事を生業に例えるなら、人材育成は栽培であり、採用は狩猟に当たります。
数ある採用競合と応募者を獲り合う戦いには、知恵と体力の限りを尽くして、戦い抜かねば簡単には勝てません。
ところが、採用面ではどうしても採用競合になり得る企業と同じ戦い方を行っているところが多いのが現状です。
2.採用もビジネスも勝利の方程式は同じ
現代は情報社会でもあり、欲しい「採用の成功パターン」情報はあらゆるメディアから集めることが可能です。
昔は「新聞・ラジオ・TV・雑誌」という時代から、インターネット誕生以降はネットメディアを中心に、
リアルタイムに情報を文字だけではなく動画からも簡単に得られるようになりました。
しかし、企業規模、業界、職種、地域、人気、資本力、こうした違いから成功事例を見ても、
自社には出来ないと諦めている企業の人たちが多いのも実情です。
確かに同じように嘆いている企業が多数ですが、時折、ありませんか?
同業・同地域・同規模なのに採用がうまくできている企業が!
全企業が採れないわけではありません。同じ条件なのに採れている企業は採れているのです。
なぜだと思いますか?
そうした企業は、採用活動にもビジネスの鉄則を貫いているからです。
それは下記2つに集約されます。
「他社と同じことをしていては勝てない」「顧客の喜ぶことをしなければ勝てない」、
このたった2つの普遍的なビジネス則を徹底しているだけのことです。
上記2つのうち鉄則2「応募者の利益を提供」は、採用ターゲットが定まれば実行しやすい取り組みです。
求める採用ターゲットを描き、「待遇、成長、キャリアパス、裁量権、自由度」など、
魅力ある内容・条件提示をすることが大切です。
一方で鉄則1の「他と違うことを行う」部分では、
自社の魅力・競合が少ない場所(ブルーオーシャン)を見定めることに時間を要し難易度が高い取り組みです。
この見定めには「自社の採用の強み・弱み」を捉えることが重要です。
その際に陥りやすい思考が、
「私たちの会社は強みよりも、弱みの方が多いな・・・」というような思い込みです。
最終項では、そんな「弱みを強みに変える考え方」をお伝えし、
自社の魅力を見つけ、採用競合が少ない場所を見定めるコツを感じて頂きます。
3.弱みは誰かにとっての魅力に変わる
たとえば、とてもワンマンな社長で、社内にはイエスマンしかいないような会社があったとします。
普通はそれを隠した方が良いと考えがちです。
でも少し言い方(視点)を変えれば、それも立派なアピールポイントに変化します!
「うちの社長は“俺について来い”タイプだ」
そして、採用で重視されるのは、「我が強くなく、言われたことを素直によく聞く」ということ。
それだけで十分と謳(うた)えばどうでしょう?
やはり、多くの人は「自由がなさそう」「怖い」と感じるでしょうが、
少数ながら「俺、リーダーシップとか無理。言われたことしかできない」と思っている人はいます。
そういうのが苦手な人は行き場がなくて困っている方は一定層存在し、
そんな人と、このワンマン社長は良い関係になることが想像できます。
同様に、「うちはグローバル化なんて絶対しない。国内のみ。できれば県内に閉じこもりたい」
という会社もそれをアピールすれば、「私、地元しかイヤ」という人が集まります。
さらにいうと、中規模以下の会社は、戦力層が薄いことさえも、大きな取り柄となるのです。
「困っています。中国工場を作りたいのですが、中国語を話せる人がいません」
こんな弱点をさらせば、「あ、俺の生半可な中国語でも、ここなら重宝してもらえるかもしれない」
と言う人が来る可能性があります。
たとえば、大手企業ならば多少中国語ができる程度では、現地赴任なんて夢のまた夢。
でも、戦力層の薄い中小企業なら、即叶う!こんなアピールはいくらでもできますね。
「単なる事務ですが、イラストが描ける人はPOP(店内広告)もやってもらいます」
「ネットサーフィン好き。もうあなたはうちのシステム責任者になれます」
とこんな風に。イラストやウェブデザインができても、
その腕を活かせず普通の営業や事務に就いている人は世の中に多数います。
そんな方々のちょっとした技能でさえも、中小企業では活かせる。それが弱みから魅力に変わるのです。
「欲しい人材はどこにいるか」と考えるのではなく、「どこかに他社が狙っていない空白はないか」に考えを変える。
そしてその空白の池に「自社の魅力」という針を垂らす。
その際、えさとなるのは「強み」だけでなく、一般的に「弱み」に思われていることをそのまま活用できる。
弱みとは普通隠すので、これをアピールする競合がほぼおらず、この弱みを嬉しく思う多数のニッチな層が存在します。
弱みしかないと思うのではなく、視点を変えて魅力に変えるトライをしてみてください。
それが、「戦わずして勝つ採用」の成功にむけた、はじめの1歩です。
自分の強みの再認識に利用するとよい本を抜粋してますので参考にしてください。
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