どうもけいぱぱです。
本日は他人事ではない!「社会保険適用拡大」について解説していきます。
2020年5月に成立した「年金制度改正法」により、従業員数101人以上500人以下の事業主様を対象に、
2022年10月から段階的に短時間労働者への社会保険加入の適用拡大が行われます。
短時間労働者の社会保険適用には「事業所規模の要件」と「労働者の要件」があり、それぞれ改正に伴って変更されます。
法改正までまだ時間はあると感じますが、事前準備のことを考えると
あっという間に時間が過ぎることが予想できます。
今回は現行の短時間労働者の社会保険適用ルールと改正後のルール、
短時間労働者の定義や、適用拡大後に企業が実施する手続き、労務管理のポイントをご紹介します。
それではよろしくお願いします。
- 短時間労働者の社会保険適用、現行ルールと改正後の違いは?
- 改正後のルール
- そもそも短時間労働者とは?
- 社会保険適用拡大に向けて企業が実施すべきこと
- まとめ
短時間労働者の社会保険適用、現行ルールと改正後の違いは?
短時間労働者への社会保険加入の適用拡大がスタートする2022年10月に向けて、
これまで対象外だった企業も短時間労働者の社会保険適用者の把握や届出をはじめとする対応が必要となりました。
現行のルールと段階的な要件改正の内容を改めてご紹介します。
常時500人以下の被保険者を使用する企業の場合は、
「1週の所定労働時間および1か月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」に
当てはまる短時間労働者が加入対象です。
改正後のルール
2022年10月から段階的に変更が適用される事業所規模の要件と、
一部変更点がある短時間労働者の要件を早見表でご紹介します。
■従業員のカウント方法
被保険者となる従業員数は、以下のA+Bの合計として算出します。
原則として、被保険者である従業員数の基準を常時上回る場合の事業所が、社会保険の適用対象となります。
ある月の被保険者数が101人(もしくは51人)以上となったとしても、すぐに対象の「特定適用事業所」とはなりません。
直近12か月のうち、6か月で基準を上回る場合に適用されます。
企業をはじめとする法人の場合、同一法人番号内の対象者を合計するのに対し、
個人の事業所は事務所ごとに対象者をカウントすることになります。
そもそも短時間労働者とは?
改正後保険適用が拡大される短時間労働者は、
フルタイム勤務の正規雇用の労働者と何が違うのか改めて定義をご紹介します。
ここでお伝えする通常の労働者とは、フルタイム勤務で働く正規雇用の労働者のことを指します。
事業所内に正規雇用の労働者がいない場合は、フルタイム勤務で働いている
非正規雇用の労働者より短い労働時間の労働者が、短時間労働者に該当します。
パートタイマーやアルバイトをはじめ、嘱託や契約社員、臨時社員、準社員などでも、
通常の労働者よりも短い労働時間であれば、短時間労働者となります。
短時間労働者は労働基準法や労働安全衛生法をはじめ、
原則通常の労働者と同様の労働者保護が適用されます。
当然ですが短時間労働者であるからといって、最低賃金以下で働かせたり、
休憩を取らせなかったり、理由なく解雇することはできません。
社会保険適用拡大に向けて企業が実施すべきこと
最後に2022年10月から段階的に始まる短時間労働者の社会保険適用拡大に向けて、
各企業が実施すべき事前の準備や対応についてご紹介します。
【Step1】加入対象者の把握
まずは、新たな社会保険の加入対象者となりうる短時間労働者の把握を行います。
自社内の短時間労働者のうち以下全ての条件に当てはまる人は誰か、何人いるのかを確認します。
また、契約上は所定労働時間が20時間に満たない場合でも、
雇用後に残業が積み重なって実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、
引き続きその状態で雇用されると見込まれる場合には、3か月目から社会保険の加入とする必要があります。
実労働時間が2か月連続で週20時間以上働く短時間労働者を社会保険の被保険者としていないと、
年金事務所から指摘を受けるため契約上の条件だけでなく、労働実態を含め要件に当てはまるかを判断します。
【Step2】社内通知
上記の要件を満たす短時間労働者の人数や氏名を把握した後は、
社内イントラやメールで社会保険の適用対象となる短時間労働者に伝わるよう、通知を行います。
メールや社内イントラ以外にも掲示板で知らせるのが有効という職場の場合は、
対象者が気付きやすい方法で適用拡大の通知を行いましょう。
【Step3】従業員とのコミュニケーション
対象者には必要に応じて説明会や個人面談をしましょう!
【Step4】書類の作成・届出
2022年8月までに、雇用する被保険者の従業員数が101人〜500人の事業所には
日本年金機構から新たに適用拡大の対象となることを知らせる通知書類が届きます。
通知があった事業所は、届出に必要な書類を作成し、2022年10月5日までに申請を行う必要があります。
雇用する被保険者の従業員数が51人〜100人の企業は、別途2024年10月までに書類作成と申請を行います。
※オンライン申請も可能です!
まとめ
2022年10月以降、短時間労働者の社会保険加入要件の適用範囲拡大が段階的に実施されます。
自社が対象企業に含まれるかどうか、自社で短時間労働者の要件に当てはまる従業員が何人いるか、
改めて改正後のルールと照らし合わせ確認しておく必要があります。
2022年10月から適用拡大の対象となる企業は、自社で新たに適用対象となる労働者を把握したうえで、
申請準備を行いましょう。
適用拡大後は、雇用する短時間労働者の1週間の労働時間を雇用契約書や就業規則で
20時間以内と定めていても、残業によって2か月を超え20時間以上働いていた実態がある場合、
企業側は該当する労働者を3か月目から社会保険に加入させる義務があります。
そのため、短時間労働者のシフトに応じて労働時間を把握し、社会保険未加入のまま働く短時間労働者が
20時間を超えて働いていないか未然にチェックするなど、
今後は労務管理の面でもより厳密な対応が企業にますます求められます。
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